山から流れてくる土砂によりダムに溜まる「底泥」。その多くは残土や産業廃棄物として処理される運命です。

そんな「底泥」には様々な養分が含まれています。「底泥」を資源として再利用できないかと考え、近畿大学農学部環境管理学科水圏生態学研究室(担当:河内香織 講師)ではダム湖の「底泥」を利用したブルーベリー栽培を行っています。

 

栽培を始めて8年を迎えブルーベリーの収穫量が増加したことから、特定非営利活動法人どうで(やまぞーえ)とともに、資源循環をテーマとした商品開発プロジェクトを進めています。

 

今後は、ブルーベリー商品を開発・製造する過程でハンディキャップのある方との共働を進めるとともに、この取り組みを通じて循環型社会への貢献を目指します。

 

このプロジェクトについて、2023年6月28日にNHK「おはよう関西」で紹介されました。また、NHKの国際放送(NHK WORLD-JAPAN)でも放映されています。※以下のリンクよりご覧いただけます。

※日本語版は番組の「見逃し配信」の公開期間外のため、ご覧いただけません。


◆ブルーベリーキャンディーの試作とイベントでの配布

*詳細は以下のリンクをご覧ください

◆ブルーベリーシロップの開発

2023年夏に収穫したブルーベリーを使用。隠し味に柚子果汁(山添村産)を使用し、ブルーベリーの甘酸っぱさが感じられる一品に仕上がりました。2023年11月の「近畿大学農学部祭」で数量限定で販売しました。

◆ブルーベリーの“搾りかす”を漉き込んだ手漉き和紙の制作

プロジェクトのPRのために、NPO法人アクティブセンターうだ(奈良県宇陀市)の協力でブルーベリーの“搾りかす”を漉き込んだ手漉き和紙を製作ました。

◆ブルーベリーの干菓子の試作とイベントでの配布

ブルーベリーの味を凝縮したパウダーを練りこんだ「干菓子」を試作し、サンプル品を2023年11月の「近畿大学農学部祭」で配布しました。


山添村の「不耕作農地」を整備し、2024年に新たなブルーベリー農園が誕生しました!

農園の整備は近畿大学農学部の学生の皆さんの参加で行われました。まずは、ダム底泥を運搬する車両が通れるよう道づくりから。穴を掘って杭を打って擁壁をつくり、路盤となる砕石を運ぶ作業。2023年夏からコツコツ作業を進めて、年末には4トン車が通れる幅の広い道ができました。

年が明けて2024年3月。いよいよ布目ダムから浚渫した底泥を農地に搬入する作業が行われました。ダムに積んだ底泥の水分が減ったタイミングで運搬。農地に搬入した底泥は均一の高さにならします。

・・・その間、植え付けを待つブルーベリーの苗木は見る間に大きくなっています。

4月。20名を超える研究室のメンバーの参加のもと、ブルーベリーの植付作業が行われました。農地の傍らにはレンコンの植付スペースを確保し、地域のレンコン農家さんの協力のもと、レンコンの栽培実験も行われます。

今回整備した農地には、8種類80本のブルーベリーが植えられ、底泥が生育に及ぼす影響について継続的に調査が行われます。また、引き続き果実を活用したブルーベリー関連製品の開発を進め、山添村の特産品づくりに寄与していきたいと考えています。